あーるPG - 社会人のデジタル生活

日曜プログラマになろうかなーと思った30代理系社会人の、キャリアアップや趣味(特にデジタル情報)の記録。らーめんとビールが好き。

テクノロジーがもたらした「100%儲ける方法」とは 

題名:
フラッシュ・ボーイズ 10億分の1秒の男たち

オススメ度:
★★★★★


内容:
ウォール街でのノンフィクション。カナダロイヤル銀行のブラッド・カツヤマは、最近注文に対する約定具合がおかしいことに気づいた。売り注文に対してこちらが買い注文を出すと、その刹那、注文が消えてしまうのだ。ブラッドが調査に乗り出すと、そこにはHFT業者がすでにウォール街に根を張って暗躍していることがわかってきた・・・というあらすじ。

株式投資をする人であれば必見の本書。”フロントランニング(先回り)””さや取り”と言われる必勝の行為が、昔は場内で業者が、今はサーバでHFTが行っているという事実。それはネットワーク速度の数ナノ秒の違いが明暗を分ける世界。
簡単な例を挙げると、ある銘柄が$10000で100株、$10001で1000株・・・売りに出されている。それを見た投資家が$10000~$10010で10000株買いたいと中間業者に依頼する。最良は$10000 x 10000株、最悪は$100010 x 10000株、確率的に平均は$10005 x 10000株で約定するはず。だが、HFTはその買いの動きを察知、予測し、$10000~$10009の株を先に買占める。そして$10010 で10000株を売るのだ。
この結果、平均からすると$5 x 10000 = $50000(600万円)がHFTの儲けとなり、投資家はその分が損となる。投資家の立場からするとちょっとずつ税金を払っているようなものだが、塵も積もれば山となる。HFT業者は年間100億、1000億といった稼ぎを、確実に損しない取引で取得している。これが”電子フロントランニング”である。
また”スローマーケットさや取り”は、複数市場で公開している株価について、ある市場で株価が$1上がったら、他の市場でその変動が反映させる前に買占め、$1上げた値段で売りに出す、というもの。
”報奨金さや取り”は米国市場の特殊性があるのだが、ある取引所では買ったときに報奨金が出て、また別の取引所では売った時に報奨金が出るため、それらを把握し効率的に報奨金を貰ってフロントランニングを行うというもの。

そして証券取引所もそれに加担している。”コロケーション”とは、電子取引になって空いた証券所のスペースを有償で貸し出すサービス。HFT業者は市場サーバに物理的に近い分だけ、速度面で有利となる。
また、”ダークプール”という用語も特徴的。証券会社は市場に売り買い注文を代行して手数料を得るが、市場にも手数料を支払っている。だが、証券会社の顧客同士で売り買いが同数あるならば、市場に出さずに約定させることができる。そしてそのタイミングも何もかも不明瞭。証券会社は市場に払う分の手数料を丸々懐に入れることができる。ここにHFTが介在するのも予定調和である。

このようなウォール街の不誠実さにメスを入れ、真に顧客のための取引所とはどうすればよいのか、を考え、行動に移したのがブラッドらである。オーシャンズ12のようなものか。

本当か嘘かはわからないが、アルゴは確実に存在し、今も市場に跋扈している。日本においてもコロケーションは実施され、HFTが暗躍しているのはほぼ確実だろう。だが、HFTと縁を切って利益も減少する選択をする証券会社が皆無なのも事実。ブラッドのような理念をもった証券会社が必要となるだろう。

そして、生半可にデイトレードをするのは必敗、というのも心理。これが実生活には一番重要。

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